「生まれてきてよかったって思ったことある?」 さきちゃんは窓から外を見たまま、そう尋ねた。囁くような、呟くような声。鈍行列車のガタゴトという走行音に消されない最低限の音量だった。 「……あるよ」 私は正直に答える。すこし驚いたように、さきちゃん…
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