停滞という幸せ

はじめに

こんにちは。初めまして(?)雨間です。アマアイと読みます。雨間寂だったり、雨間ジャックだったり、雨間単体だったりで小説を書いています。このアドベントカレンダーを作ってくれた漣君と同様、筑波大学の文芸部に所属しています。

小説を書き始めたのは小学生の頃からで、高校まで文芸部というものが無かったので、大学で初めて所属することができました。小説を持ってきて確実に感想をもらえる場というのはとても貴重で素敵だと思うので、野良で書いている人はぜひ遊びに来てください。

 

小説を

自己紹介はここまでにして、早々に小説を置いておきたいと思います。今回のために書き下ろした作品です。

amaaijack.hatenablog.com

BLですが、ここまで読みに来てる人に忠告するのは今更ですよね。

小説だけ読んで帰るのもよし。このまま読み進める場合は、解説になるので、先に小説を読んでおくことをお勧めします。

 

解説:停滞という幸せ

書いた小説を自分で解説する以上にいやらしいことはないと思うんですが、せっかくのアドベンドカレンダーの記事なので何か書きたい、で書いたら解説以上の何でもなかったので仕方なく載せることにしました。 

 

これは幸せな物語です

前提条件として、私は今回のために小説を書こうと思ったときに、クリスマスをテーマとして幸せな物語に書こうと考えたことを理解してほしいです。せっかくのクリスマスなら、ハッピーな話を読みたいし、そんな要望に応えたいというのは自然な発想ですよね?内容にもそんな私の意思が明示されていたと思います。

冗談はそこそこに。

結局、主人公は振られているし、女の先輩とも付き合わないし、全然幸せになってないじゃないか。どこが幸せな物語なんだ。そう思うのも当然だと思います。

でも考えてみてください。

思い出だけで、寂しいとも思わず生きていけるなら、それは素晴らしい人生だと思いませんか?

 

BLが書けるようになりました

ちょっと話がずれますが、私はずっとBLが書けませんでした。というのも、男性が何を考えているのかさっぱりわからなかったからです。

私は小説を書くときは、「どこかにいそうでいない人」を書くように努めています。かつて好きだった人が死んで喜ぶ女*1しかり、秋になると情熱が冷める男女*2しかり。何故かっていうと、そういう話が好きだからですね。でも、男性が何を考えているかわからないのに、リアリティとフィクションの絶妙な隙間を狙うことはできません。なので、ずっとBLには手を出していませんでした。

のですが、今回幸せな物語を書こうと思ったとき、それほど幸せで完璧なものならば、逆にリアリティの薄い、完全なるフィクションとなってしまうBLに託したほうがいいのではないかと思ったのです。

そういうわけで、初めて*3BLを書くことになりました。

 

停滞という幸せ

そういえば、女の先輩は振られているし幸せになっていないのでは? という問いがあると思います。それは全くその通りです。でも彼女は生きているし、いつか幸せになると思います。

「彼女は生きている」ならば、彼は生きていないのか? 

生きていないんです。彼は思い出だけを抱えていくという現状に満足して、停滞しています。変わらないというのは生きていないというのと同じです。でも、変わるというのは労力を使うし、失敗する可能性もあります。そんなことをしなくても幸せだというのは、羨ましい生き方だと思います。

(逆にいえば、完全なる幸せを手に入れたらこれ以上生きていなくてもいい、というのは私の作品の根底にあると思います)

もっとも、思い出だけで生きていけるなんて現実にはそんな人間はいません。停滞している人間がいたとしても、何か変わりたいという思いや不安を抱えているはずです。

 

そんな現実には囚われない、完全なるフィクションの世界の住人をBLという形を通して描かせていただきました。

 

終わりに

今回はBLというフィクションの世界と、停滞という幸せについて語らせていただきました。普段はGLやNLをメインにして書いています。NLはこのブログに沢山載っていますね。定期的に更新しているので読んでもらえると嬉しいです。GLはまだこちらには掲載していませんが、数か月前に発行した個人誌に載っています。 

残り部数がいくつかあるので、欲しい人は連絡ください。

宣伝で終わり!よいクリスマスを!

 

 

※ この記事は筑波のクリエイター Advent Calendar 2017 - Adventarのために作成されました。

*1:「二十歳になれなかった西山君」より「にどと」

*2:秋風に手を振って - amaaijack’s blog

*3:正確には今回の前に1つ話を書いている。樹林クリスマス号に載る予定。